昔働いていたアルバイト先で、
毎日、とても嫌な言葉をかけられていた。
まず普通の人には使わないような言葉で、
つぎつぎと面白がって従業員を卑下する店主がいた。
お客さまには言葉を選んで話すのに、
なぜ従業員だからと、私たちはここまで見下されるのだろう。
裏での言葉が、その人の「ほんとう」を表しているように思えた。
いつもは笑って流していたが、
ある日、この人はこのままで大丈夫なのか?
と思って、「その言葉は、ひどいのではないでしょうか」と言った。
すると
「君はいじられ慣れていないのさ、
それに僕は下町言葉の使い手なんだ」
「最近の子は、モラハラだとか、すぐに騒ぎ立てて困っちゃうね」
そんなことを言われ、
もう何もかもを諦めた。
結局、他にも問題があって、その職場はすぐにやめてしまった。
私は、あのとき感じていた、おぞましい気持ちを忘れはしない。
誰かに悪いことばを使うことは決して下町の文化ではないし、
誰かを「いじる」ということは、
同時に誰かを傷つけるということを意味している。
言葉で人を傷つけるくらいなら、
私は言葉で人に喜んでほしい。
言葉に“悪い”と”良い”がある以上、
私は”良い”を選んで生きていきたい。